前腕を太くする「リストカール」前腕にまつわる怪我もご紹介します!
こんにちは、カリスフィットトレーナーの山下 綾介です。
男らしさを感じる筋肉といえば、分厚い胸板、太い腕ですね!
しかしそれらに並んで半そでから隠すこともなく出ている前腕部。
露出の多さだけでいえば前腕の方が圧倒的に多く、鍛えた身体をアピールするにはうってつけの部位ですね(笑)
男性の太い前腕が素敵!という筋肉フェチな女性も多いはずです(?)
今回はそんな前腕の筋肉についてのトレーニング方法や痛み、ケアについての内容になります。
前腕の筋肉とは?
あえて説明する必要もありませんが、腕とは肩から手首までのことを指し、
特に方から肘までを「上腕」、肘から手首までを「前腕」と呼びます。余談ですが手首から先が「手」です。前腕とは場所の名前であって、筋肉の名前ではありません。
そして前腕は多くの筋肉から構成されています。
・円回内筋(えんかいないきん)⇒前腕の回内、肘の屈曲
・方形回内筋(ほうけいかいないきん) ⇒手首の屈曲、撓屈、肘の屈曲、前腕の回内
・長掌筋(ちょうしょうきん) ⇒手首の屈曲
・橈側手根屈筋(とうそくしゅこんくっきん) ⇒手首の屈曲、撓屈
・尺側手根屈筋(しゃくそくしゅこんくっきん) ⇒手首の屈曲、尺屈
・深指屈筋(しんしくっきん) ⇒遠位指節間関節の屈曲、手首の屈曲
・浅指屈筋(せんしくっきん) ⇒第2指~5指の屈曲、手首の屈曲、肘の屈曲補助
・長母指屈筋(ちょうぼしくっきん) ⇒母指の屈曲、手首の屈曲
・回外筋(かいがいきん) ⇒肘関節の屈曲・前腕の回外
・腕橈骨筋 ⇒肘の屈曲、前腕の回外位から中間位までの回内、前腕の回内位から中間位までの回外
・長橈側手根伸筋 ⇒手首の伸展、手首の撓屈、肘の伸展の補助
・短橈側手根伸筋 ⇒手首の伸展、手首の撓屈、肘の伸展の補助
・尺側手根伸筋 ⇒手首の伸展、手首の尺屈 ・総指伸筋 ⇒第2~5指を中手指節関節で伸展、手首の伸展
・小指伸筋 第5指を伸展、手首の伸展補助 ・示指伸筋 ⇒中手指節関節での第2指の伸展、手首の伸展の補助
・短母指伸筋 ⇒母指の伸展、手首の伸展
・長母指伸筋 ⇒母指の伸展、手首の伸展
・長母指外転筋 ⇒手根中手関節での母指の外転、手首の撓屈
こんなにもたくさんの筋肉で構成されています。
この中でも腕橈骨筋に関しては他の筋肉と少し違い、手首の関節をまたがないような筋肉の付き方になっています。
ひとつひとつは決して大きな筋肉ではありませんが、トレーニングすることで確実に太くなっていきます!
手首の関節
手首の関節のことを手関節(しゅかんせつ)と呼びます。
手首の動きに関しては、手首を手のひら側に曲げることを掌屈(しょうくつ)といい、反対に手の甲側へ反らす動きを背屈(はいくつ)といいます。
また、前腕には骨が2本あり、親指側が橈骨(とうこつ)、小指側が尺骨(しゃっこつ)といい、 手首を橈骨側へ倒す動きを撓屈(とうくつ)、尺骨側へ倒す動きを尺屈(しゃっくつ)と呼びます。
前腕をトレーニングする前に
よく筋トレの負荷を決めるときに、筋肉を大きくするなら10回前後の回数で、それをギリギリこなせるような重量にするというのが よく言われることですが、
前腕の場合は大きく力のある筋肉ではなく、また強い負荷をかけると手首を痛めやすいです。また稼働の範囲が小さいため、低回数では筋肉を緊張させている時間が短くなってしまいます。
よって前腕のトレーニングはあまり重くない重量で20~30回程度を地道に反復すると良いでしょう。 インターバル(休憩時間)も短めでつめてしまいましょう。
前腕を太くするトレーニング
☆リストカール
<鍛えられる筋肉> 前腕屈筋群(前腕の手のひら側)
<動作方法>
1.ダンベルを持ち、フラットベンチの上に手の平を上向きにして前腕を乗せる。このとき手首から先は乗せないようにする。
2.手首を反らした位置から手首を屈曲し、また反らしていく。
3.1~2を繰り返す。
<リストカールのバリエーション>
・バーベルリストカール
・ケーブルリストカール
☆リバース・リストカール
<鍛えられる筋肉>
前腕伸筋群(前腕の手の甲側)
<動作方法>
1.ダンベルを持ち、フラットベンチの上に手の平を下向きにして前腕を乗せる。このとき手首から先は乗せないようにする。
2.手首を屈曲した位置から手首を反らしていき、また屈曲位に戻していく。
3.1~2を繰り返す。
<リバース・リストカールのバリエーション>
・バーベルリバースリストカール
・ケーブルリバースリストカール
☆スタンディング・ハンマーカール
<鍛えられる筋肉>
腕橈骨筋
<動作方法>
1.ダンベルを持ち、手の平を内側(身体側)に向けて立つ。
2.肘の位置をあまり動かさないように気を付けながら肘を曲げる。
3.曲げた肘を伸ばしていく。
4.2~3を繰り返す。
<スタンディング・ハンマーカールのバリエーション>
・インクラインハンマーカール
・シーテッドハンマーカール
バリエーションの使い分け
先ほどご紹介したトレーニング種目のバリエーションについては、負荷の大きさや器具の有無、いつもと違った刺激を身体に与えるなどの「変化」として取り入れてみましょう。 その中で、このやり方は効く、このやり方では楽にできてしまうなど自分の感覚も頼りにしながらより効く感覚があるものを選ぶのも良いでしょう。
スタンディングとシーテッド(立ちと座り)では、扱える重量が変わります。 スタンディングでは高重量にチャレンジしやすい反面、反動をつけたり腰の反りが出やすいです。 シーテッドではスタンディングと同じ重量では同じ回数をこなすことは難しいですが、フォームが崩れやすい人にとっては、 反動などが使いにくい分、フォームを崩しにくくなります。
バーベルとダンベルではバーベルの方が両手で行なう場合は安定します。しかし手首が一定の角度で固定されるため、手首の関節の柔軟性が低かったり痛めてしまったことがある場合はダンベルの方が角度は自由が利くので負担が少なくはなります。
握力と前腕
学生時代の体力測定の項目にもあった握力測定ですが、なんとなく握力が強い=力持ちみたいなイメージもあったのではないでしょうか?
そんな握力ですが、実際筋力としては前腕の筋力が関与しています。
握力は力強さの象徴のひとつでもありますし、競技によってはパフォーマンスにも関与するので、強くしたいという人も少なくありません。
握力は指を曲げたり手首を曲げる、前腕屈筋群が特に関与しています。上記のトレーニングでいえばリストカールが効果的ですね。
ただここでポイントになるのは握力は手のひらというよりは指先にひっかけて握るような感じでしたよね。
なので指先から力強く握るような能力やトレーニングが必要です。
オススメしたいのはリストカールで手首を反らしたポジションになった際に、指も伸ばして指先にひっかけるような形にしたところから
指先と手首を屈曲してくる動作で行なうと前腕の屈筋群をしっかりとトレーニングすることができます。
おおよその握力の平均は
20代男性 46kg前後
20代女性 28kg前後
30代男性 47kg前後
30代女性 28kg前後
40代男性 46kg前後
40代女性 29kg前後
50代男性 45kg前後
50代女性 28kg前後
くらいになります。
学生時代は体力テストで測定もしましたが、今ではなかなか測定する機会も少ないので、現在がどのくらいかわからないかもしれませんが、もし計測する機会があるようでしたら参考にしてみてください。
前腕と痛み・怪我
先ほどの項でも言いましたが、前腕は酷使されて疲労がたまりやすい部位になります。
それによって前腕の筋肉が付着する手首周りや、肘周りに起きる身体の不調もあります。
☆上腕骨内側上顆炎
主に前腕の屈筋群の疲労や緊張により肘の内側に痛みが出る症状
肘の内側にある上腕骨の内側上顆というところに、手のひらを曲げるような役割がある前腕屈筋群が付着していて、それらの筋肉の使い過ぎによって炎症がおきてしまう症状です。別名ゴルフ肘とも言われ、ゴルフでダフった衝撃で痛めてしまいやすい場所でもあることから、その名前がついたとされています。
☆上腕骨外側上顆炎
主に前腕の伸筋群の疲労や緊張により肘の外側に痛みが出る症状
肘の外側にある上腕骨の外側上顆というところに、前腕を反らす(伸展)筋肉が付着していますが、その筋肉の使い過ぎによる疲労なので炎症が起きて痛みが発症してしまいます。
先ほどのゴルフ肘に対して、こちらは別名がテニス肘と呼ばれます。
テニスのバックハンドの動作により、前腕の伸筋群が使われて発症することが多いためこの名前がついています。
☆手根管症候群
前腕の使い過ぎによって、指のしびれが起きる症状
手首にある「手根管」と呼ばれるトンネル状の管があり、その中に腱や神経が通っています。
その中で、正中神経と呼ばれる神経の手首まわりを繰り返し使いすぎることによって圧迫してしまい、症状がでることがあります。
とくに正中神経は親指から薬指の親指側半分に関与する神経になるので、この対応する指のしびれがでることが特徴です。
残りの薬指の小指側と小指にはしびれが出ません。
前腕の筋肉のストレッチ
上記のような怪我・痛みは前腕は日常的に使われており、疲労が蓄積しやすい部位であることがゆえに起こりやすいです。
そこでさらにトレーニングをするとなると疲労ばかりためてしまうので、そのしっかりとケアすることも必要になります。
☆前腕屈筋群のストレッチ
①片方の腕を、手のひらを上にして前に伸ばす。
②手首を反らし、手のひらを前に向ける。
③もう一方の手で指を横からつかみ手前に引き、さらに反らすようにする。
☆前腕伸筋群のストレッチ
①片方の腕を、手のひらを下にして前に伸ばす。
②手首を手のひら側に曲げ、手の甲を前に向ける。
③もう一方の手で指を横からつかみ手前に引き、さらに曲げるようにする。
<ストレッチのポイント>
①反動を付けないこと
反動をつけると筋肉に損傷がうまれやく、痛くなってしまう原因になります。
②急激に強く伸ばさずに、ゆっくりと伸ばしていく
強く伸ばそうとすると筋肉が防衛反応を起こして伸びにくくなってしまいます。
③呼吸を止めない
ストレッチをするときはリラックスすることが大切になります。呼吸が止まってしまうと身体も緊張しやすくなってしまうので、
深呼吸をするくらい意識的に呼吸が止まらないようにしましょう。
④30秒程度は伸ばすようにする
筋肉は伸ばされると縮もうとする性質があります。その性質を緩めるためにはある程度の時間ストレッチをすることが必要になりまあす。伸ばしていくと最初は脳が「伸ばされて切れちゃいけないから筋肉を守れ!」と働きますが、伸ばし続けていると慣れてきて「伸ばされても大丈夫だ」と制限が解除されます。
前腕のねじれと猫背
現代社会では多くの人がパソコンを使うことや車の運転をすることが多いと思います。
こういったことが巻き起こす身体の不調では前腕のねじれがあります。どういうことか説明すると、例えばパソコンのキーボードを操作するときには手のひらが下向きになりますよね。
この体勢をとる為には、前腕を内側に捻らなければいけません。問題になるのはこの状態が長時間続くことで、前腕を内側に捻る筋肉が縮こまったまま固まってしまいます。
そしてさらにそこから問題になってしまうのが、その筋肉が固くなることで肘の内側の部分で筋肉が付着しているところが炎症を起こして痛みの原因になってしまうことや、猫背に繋がることです。
さて、前腕の内巻きが肩こりになるというのがピンと来ない方もいるかもしれませんが、一度試していただきたいのが
立ったままでも座った姿勢でも良いですが、手を内側に捻れるだけ捻ってみてください。
分かりやすいように過度にやっていますが、手を内側に捻るとそれに連動して肩も内側に巻いてきませんか?
俗にいう「巻き肩」というものですね。そして巻き肩になると猫背になり胸の筋肉が縮こまった状態で固まってしまうので、
なおさら肩こりを助長してしまうのです。
なので肩こりを治す、猫背を治す際に胸の筋肉をストレッチするというのは一般的ですが、意外と原因はそれだけではないかもしれないですよ!
前腕の捻じれを治すには筋肉を緩めてあげる必要がありますので、前腕のストレッチをするようにしましょう!
本日のまとめ
前腕のトレーニングをすることで、見た目としては腕が太く男らしくなる。
機能としては、握力が強くなり種目によってはスポーツのパフォーマンスがあがる。
日常においても、使用される頻度が高い部位のため、ケア不足になることで痛みの原因になったり姿勢の悪化につながる
最後に
前腕の筋肉のトレーニングはとくに男性に人気な種目にもなりますが、いろんな種目においてもダンベルやバーベルを持つ中で使われている部位です。
やりすぎには注意して、トレーニング後にはしっかりとケアを行ない痛めていまわないようにしましょう。