ベンチプレスの平均は60キロ?70キロ?目的別に重さを設定する基準と方法

おはようございます!! カリスフィットパーソナルトレーナーの仲井です!!
突然ですが、私たち人間の身体には、どのくらいの数の筋肉があるか、ご存じでしょうか?
実は、私たちの身体には、細かく分けると640個もの筋肉があります。それぞれの筋肉は206個の骨とつながっていて、その組み合わせで筋肉が伸びたり縮んだりして、体をすみずみまで動かすことができるようになっています。
どの筋肉もそれぞれに役割があり、鍛えたい筋肉のトレーニングの方法はさまざまです。その数あるトレーニングの中でも、特に基本となるトレーニングが、「ベンチプレス」、「スクワット」、「デッドリフト」の3つの種目で、これらは筋トレの「BIG3」と呼ばれています。
今回のコラムでは、このBIG3のトレーニングのうちの一つ、「ベンチプレス」について取り上げたいと思います!
1.ベンチプレスで鍛えられる筋肉
ベンチプレスでは、おもに肩の関節を内側に曲げる動作(内転)と、ひじの関節を伸ばす動作(伸展)により、大胸筋を中心に三角筋前部(フロントデルト)や上腕三頭筋を鍛えます。
【大胸筋】 【三角筋(前部)】 【上腕三頭筋】
大胸筋を鍛えることで、厚い胸板やきれいなバストラインなど、胸部の見た目をたくましく、美しくする効果が期待できます。
また、三角筋前部(フロントデルト)を鍛えることにより、身体を正面から見たときの肩まわりの迫力や、上半身の大きさを強調する効果も得られます。
2.ベンチプレス(バーベルベンチプレス)のやり方
ベンチプレスは、バーベルやダンベルを使用して行う「フリーウエイト」のトレーニングの中でも、もっともポピュラーな種目です。バーベルを上げ下げするだけの単純なトレーニングに思えるかもしれませが、正しいフォームで行うのは意外と難しいものです。
ここでは、ベンチプレスの正しいフォームを解説します。
① バーベルを握ってラックアップ
バーベルを肩幅の1.5倍程度の手幅で握ります。(スポーツジムなどに置いてあるバーベルは手の位置を示すしるしがつけられていることもあります。)
ラック(バーベルを固定する器具)からバーベルをはずしたら、動作を始める前に肩甲骨を中央に寄せて、胸を張るようにポジションを取ってください。
② 胸を張ったままバーベルを上下する
①の状態で胸を張ったまま、ゆっくりとバーベルを上下に動かします。バーベルを下ろす位置の目安は、胸の乳首のあたりか、それよりやや下が基本です。
基本的なベンチプレスの場合は、お尻を浮かさないように注意しましょう。(お尻を浮かせて行うトレーニングは別の種目になります。)
また、下ろす際にバーベルを胸に落としてバウンドさせてしまうと、効果が減少するためNGです。
【動画で確認!】ここまでの動作を次の動画で確認してみましょう!
2-1.ベンチプレスのバリエーション 「ディクラインベンチプレス」
ディクラインベンチプレスは、頭が体より下になった状態で行うベンチプレスです。大胸筋は細かく分けると、上部、中部、下部と分けることができ、このトレーニングでは、身体の斜め下向きにバーベルを押し上げることで、大胸筋の下部を重点的に鍛えることができます。
① ベンチに足を乗せる
ベンチに両足を乗せ、ひざを立てたまま身体をまっすぐにします。このとき、腕がグラグラしないように、しっかりバランスをとりましょう。
② みぞおち付近にバーを下ろす
バーベルを垂直に上下させ、下ろす際はみぞおちのあたりを目安に下ろします。下方向(足方向)に押す力が強くなるため、通常のベンチプレスよりも高い負荷をかけてトレーニングができます。
基本的なやり方はベンチプレスとそれほど変わりはありませんが、大胸筋の下部に負荷をかけるので、通常のベンチプレスとは、少し違った部分が刺激されている感覚があるはずです。
3.ベンチプレスでの重量と回数はどのように決める?
ベンチプレスを行う際のバーベルの重量や回数、セット数は、トレーニングを受けるあなたの目的に応じて設定されます。ここで重要となるのが、「RM」という指標です。
3-1.「RM」とは?
「RM」とは、レピィティションマキシマム(Repetition Maximum)の略称で、「最大反復回数」を指します。
例えば、あなたがバーベルの重さを60kgに設定したとして、1回上下に動かすと筋力が限界に達し(限界の負荷)、それ以上バーベルを上げることができないという場合、1RMは60kgとなります。
さらに、バーベルの重さを50kgに減らしたとして、5回の上げ下げで筋力が限界に達するのであれば、5RMが50kgとなります。
つまり、「RM」とは、「ある重さに対して何回、繰り返しができるか?」を表す数値といえます。そのため、RMは人それぞれで数値が異なります。このRMの数値を参考にして、トレーニングの目的に合わせてバーベルの重さを調節していきます。
一般的に、1~5RMでは、「筋力のパワーアップ」、6~15RMでは、「筋肥大(筋肉を大きくする)」、15RM以上では、「筋持久力(筋力の持続力)」の向上につながると考えられています。次の表がRMの指標の一例です。
「負荷重量と最高反復回数およびその主な効果」
(引用:公益財団法人高松市スポーツ協会より)
3-2.RMを用いた実際のトレーニング
ベンチプレスのトレーニングをする方の多くは、胸板や胸の筋肉(大胸筋)を大きくしたいという目的があるはずです。そこで筋肥大を目的としたRMは6~15RMくらいの間となり、平均すれば10RM程度の重さでトレーニングすると効果的だといえます。
つまり、10回前後、バーベルを上げ下げできる重さでトレーニングをすると大胸筋を大きくする効果が高くなるということです。
もちろん10RMは平均値であり、トレーニングする方の筋力や能力、体調、性格などを加味して、8回や12回などど臨機応変に変えてトレーニングを行います。
また、男性でベンチプレスの初心者の方は、まずは20kgの重さがある「オリンピックバー」(バーベルのシャフト)のみを使い15~20回程度、比較的多くの回数をこなしてフォームが定まったところで、シャフトの両側に2.5kgずつ、5kgの重りをつけ、トータルで25kgの重さからスタートし、徐々に強度を上げていきます。これは、正しいフォームを身につけることが最優先だからです。
また、トレーニング中のインターバル(運動の間の小休息)は、筋肥大を目的とした場合では1〜2分、筋力向上やパワーアップの場合は、3〜5分、筋持久力の場合は、0〜90秒ほどの間隔が良いといわれています。もちろん、トレーニングされる方のコンディションに応じてインターバルの分数は、パーソナルトレーナーが適切にコントロールいたします。
3-3.女性でもベンチプレスはできる?
女性でもベンチプレスでトレーニングを行っている方はたくさんおられます。
当ジム「カリスフィット」では、女性でベンチプレスの初心者の方の場合、重さがほとんどない物干し竿のような棒で正しいフォームを習得するまで、適宜フォームの修正を加えながら、ある程度多い回数から始めます。
その後、「スミスマシン」(※)という重量トレーニングで使用するマシン使い、一度、重量に慣れてからオリンピックバーを使用し、2.5kgずつ段階的に重量を上げていきます。
※【スミスマシン】…ラックの左右の支柱に装着されたバーベルが垂直(もしくは斜め)にスライド」しながら、重りを上下に動かすマシン。一定の軌道で動作ができ、安全にトレーニングができる。
こうした段階を経て、初心者の方であれば、「オリンピックバー(20kg)+α」くらいからスタートするのが、安全を考慮した適切なベンチプレスの始め方といえます。
なお、あくまで参考値ですが、男性の場合、バーベルの重さの平均は約40kg、女性では約20kgを目安としている方が多いようです。
ちなみに、元フィギュアスケート選手の浅田真央さんは、現役時代に体重47kgで、重量が47kgのベンチプレスをあげてトレーニングしていたそうです。
自分の体重と同じくらいの重さを持ち上げることができれば、アスリート級といえるかもしれません。ただし、くれぐれも無理はしないようにしてください。
4.効果を高めるポイントと注意点
- ひじを押し出す動きにつられて、肩甲骨が開き肩が上がってしまうと、大胸筋に負荷がかからなくなるため、効果が上がりません。また、大胸筋を使わないと、重いバーベルを持ち上げることすらできなくなります。
- 手首が反り返り、バーの位置が前腕の延長線状から外れると、手首に負荷がのしかかり、手首をケガする恐れがあります。もし、手首が痛いと感じたら、バーの位置を再度確認してください。
- 肩まわりの筋肉をよくほぐしてからトレーニングしましょう。肩がかたいとトレーニングの効果が薄れ、ケガのリスクも高くなります。肩がかたい方は、ストレッチを入念に行ったり、「ストレッチボール」という器具などで肩まわりの筋肉をよくほぐしたりしてからトレーニングを始めると良いでしょう。
- トレーニング中は、呼吸を止めないようにしてください。
- 正しいフォームが身につくまでは、軽い重量で練習しましょう。良いフォームで行うと、重さが軽くても効果があります。その後、少しずつ重さを上げていきましょう。
4-1.ウォーミングアップも大事
どんなトレーニングでもウォーミングアップが大事です。バーベルベンチプレスに限らず、全ての種目においてウエイトトレーニングは、筋肉に大きな負荷を与えるのでいきなり重い重さで始めると筋肉を傷めたり、思わぬケガにつながったりする恐れもあります。
まずは通常のトレーニングで使用する重さの半分程度の重さでのウォーミングアップをおすすめします。男性は平均値40kgの半分でオリンピックシャフト(20kg)のみで、女性の場合は平均値20kgの半分でスミスマシンを使い10kgの負荷で10回ほど上げ下げして、ウォーミングアップを行う方法がおすすめです。
5.ベンチプレスで得られる効果
ベンチプレスで得られる効果には、次のようなものがあげられます。
5-1.厚みのある大きな胸板が手に入る!
ベンチプレスを行う目的は人それぞれですが、はやり男性の場合は、厚く大きな胸板を手に入れたいという方が多いと思います。前述したRMの指標を参考に、正しいやり方でトレーニングを継続すれば、厚く屈強な男らしい胸板を手に入れることは十分に可能です。
5-2.ボディシェイプ・ダイエット
ベンチプレスでは上半身の大きな筋肉を一度に鍛えることができるため、ほかのトレーニングに比べ、基礎代謝が向上しやすく、ダイエットやボディシェイプの効果が高いといえます。
5-3.二の腕を引き締める効果
特に女性は、二の腕のたるみを気にする人が多いようです。ベンチプレスでは、上腕三頭筋を引き締める効果があり、腕を細く見せることができます。
5-4.女性ではバストアップも!
女性の場合は、バストアップの効果も期待できます。乳房の大部分は「大胸筋」の上に乗っているため、大胸筋を鍛えることで胸に厚みが出て、その分、乳房が前に出るため、バストアップやバストのボリューム感を出す効果があります。(ただし、乳房自体が大きくなるわけではありませんので悪しからず……。)
おわりに……「永久の未完成、これ完成である」
宮沢賢治の作品の中に、「永久の未完成、これ完成である」という一節があります。この言葉は、何ごともこれで完成という状態はなく、たえざる問いや追及のプロセスの中にこそ、「生の充実」や「人間の本来のあり方」があるということを意味しています。
この言葉は、まさに筋トレにも当てはまる名言だと思います。昨日より今日、今日より明日と、ほんの少しずつでも、自分なりに進歩していきたいと努力することは、トレーニングにおいても考え方は同じだからです。
自分という作品をデザインし、つくりあげていく過程にこそ、充実した時間を過ごし、日々の満足感が得られ、ひいては人生そのものを豊かにすることにもつながるでしょう。
私たちパーソナルトレーナーは、一歩一歩、地道にトレーニングを行い“あなたの理想の身体”をつくりあげていく手助けをする役割を担っています。いつでも、どんなことでも、些細なことでも、不安なことでも、あなたという作品が完成に近づくように、全力でサポートいたします!
ご興味やご相談などがありましたら、ぜひ一度、当ジム「カリスフィット」まで、お気軽にご連絡ください!
また、過去の記事にも、効果的な大胸筋などのトレーニングについても触れていますので、よろしければ合わせてご覧ください!!
今日はここまでにします!!
それでは、本日も健康的で素晴らしい1日を!!